発達障がいなどのある高校生がインターンシップをすることで、自身の能力や特性を理解しながら、働くためのスキルを身に付けるプログラムを行いました
「働く」に関する社会課題をビジネスで解決するキャムコムグループの株式会社 綜合キャリアトラスト(本社:東京都港区浜松町、代表取締役:伊藤努 、以下:綜合キャリアトラスト)は、「都立高等学校に在籍する発達障害等のある生徒のための就労支援プログラム」を実施いたしました。本プログラムは、2023年3月に「都立高校の魅力向上に向けた実行プログラム」において発表された、「発達障害等のある都立高校生に対する就労支援モデル事業」に基づき構築したものです。就労を目指している発達障がいなどがある高校生が、自身の能力や障がいの特性を理解したうえで就労に必要なスキルを身につけることを目的としています。また、企業側にも、障がい者を雇用するうえで必要な配慮や適切な支援とは何かを見極め、障がい者雇用を行う体制づくりを強化する機会となります。本プログラムでは、都立高校に在籍中の生徒4名を対象に、3社でインターンシップが行われました。
プログラムの概要
「都立高等学校に在籍する発達障害等のある生徒のための就労支援プログラム」では、発達障がいなどがある高校生が将来の就労の際に安定・定着するために、綜合キャリアトラストと都立高等学校が協力して社会参加への支援を行っています。具体的には、都立高等学校に在籍する発達障がいなどがある生徒に対して、さまざまな研修プログラムとインターンシップを実施し、さらに、インターンシップ先企業からの評価・フィードバックをもとに、実習の振り返りを行っています。
発達障がいのある人は、発達の遅れや問題のために、社会参加や日常生活に影響があると考えられます。発達障がいには、自閉症スペクトラム障がい(ASD)、注意欠陥多動性障がい(ADHD)、学習障がい(LD)などが含まれ、特性もさまざまです。このプログラムによって、障がい当事者と企業双方が個々の障がい特性への理解を深め、就労時に現れる障がい特性に対する適切な支援や必要な配慮は何かを明確にすることで、障がい当事者たちの前向きな社会参加や自立を促すことができると考えています。
就労支援プログラムの狙い
発達障がいなどがある高校生が、自分の強みや、日常生活能力や対人・コミュニケーション能力といった就労に必要なソフトスキルは何かを認識し、在学中にそれらを強化・改善するための指導と支援を得て、可能性を広げていくことが最大の目的です。綜合キャリアトラストがもつ、障がいがある方に対する就労支援の経験やノウハウを活かし、これから社会に出ることを目指している障がいのある方の就労定着や社会参加の実現を目指しています。本プログラムを通し、障がい者雇用における企業側の最適な支援方法や体制づくりの継続的な検討にも役立てていきます。
就労支援プログラムの内容
■期間
2023年11月~24年2月までの約4ヵ月をかけて、発達障がいなどがある高校生への就労支援として、就労体験の準備・実施・振り返りを行いました。
■就労支援プログラムのプロセス
おおまかにプロセスを分けると、全6回のカリキュラム・3日間のインターンシップ・評価とフィードバックの3つとなります。
全6回のカリキュラムではオリエンテーションやビジネスマナー講座を行い、「働く」とはどんなことなのかを学び、身だしなみやメモの取り方、「報連相」などの就労の基礎を身につけます。そのうえで、企業との事前面談を実施しインターンシップでの目標設定を行いました。
3日間のインターンシップでは、データ入力や書類チェックなどの事務作業を中心に取り組みました。
アフターフォローとして、インターンシップ先からの就労内容に関する評価・フィードバックの提示と個別面談が実施されました。
■評価と今後
インターンシップ先からのフィードバックは、「身だしなみ」や「体調管理」「挨拶」などの働くことの基礎をしっかり守れていたかという点のほか、「指示理解」や「集中力」「他者との関わり」「ストレスの自覚と対処行動」といった項目について行われました。障がいの特性が就労時にどのような形で表れやすいのか、障がい当事者自身がどのくらいコントロールできているのか、また、どのような配慮が必要なのかについても、評価と詳細なコメントが寄せられました。受講した高校生が自身の障がいの特性を理解し、就労先を考えるヒントとして活用することが期待できます。
参加企業からの感想
就労支援プログラムへの参加企業は3社でした。各企業の事業内容とプログラムへの感想の一部をご紹介します。
■株式会社ドム
事業内容:労働者派遣事業、有料職業紹介事業
感想:今回は2人の都立高校生を受け入れました。事前に研修を受けている方だったので、社会人としての礼儀や礼節など、しっかりとされている印象を受けました。実習ではデータ入力やファイル整理といった業務を行っていただきましたが、みなさん集中して取り組んでいました。今回のプログラム参加が、受講者本人の自信につながれば喜ばしいことだと感じています。
■株式会社クリエイトワーカス
事業内容:事務アウトソーシング
感想:人生の多感な時期に発達障がいがある、またはその可能性のある方へ、どのような視点をもって企業が働きかけをしていくべきかを考えさせられました。また、参加いただいたインターンシップは短い期間であるため、その中で企業で働くことについてどのように感じ取っていただけたのか、という点にも課題を感じました。モデル事業として本プログラムが継続される際には、今後もご協力させていただきたいと思います。
■株式会社わらべやハートフル
事業内容:特例子会社(事務補助、⽂書電⼦化、郵便物仕分け・デリバリー、⽂具⼀括管理、清掃、ごみ回収など、多様なオフィスサービス)
感想:本事業の目的でもある、就労生活で生かせる自分の「強み」や、必要なPCスキルについての課題の自覚も、十分に出来たのではないでしょうか。今後もインターンシップの受け入れを継続し、多くの障害のある方の活躍を応援したいと思います。
プログラム実施後の参加生徒の感想
Aさん「インターンシップでは、質問や相談を積極的に行う姿勢を褒めてもらえました。業務もしっかりとこなすことができ、取り組み方も問題ないと言っていただくことができました。早寝をするなどの体調管理に気を配ることが少し難しかったです。インターンシップ先企業の方から、アドバイスと一緒に励ましの言葉を頂きました。」
Bさん「インターンシップで任せていただいた事務作業は、とても自分に合っていました。自分の意思を直接伝えられることや、覚えが早く丁寧なことを褒めていただきました。インターンシップを通して、パソコンなどの操作についてはもっと頑張らなくてはならないと感じました。初対面だったにもかかわらず、インターンシップ先の皆さんが明るく振る舞ってくださいました。」
Cさん「作業内容や指示に対する理解の早さ、作業の丁寧さについて褒めていただきました。また、敬語が抜けているときや、ビジネスマナー、質問報告のタイミングなどでアドバイスをもらいました。気温に合わせた体調管理や、体力面、通勤面については難しさも感じました。とても順調に、楽しく仕事をすることができました。」
Dさん「会社の方に配慮いただき、とてもやりやすく自分に合った仕事を任せていただいたと考えています。コミュニケーション能力を褒めていただき、安心して業務を任せられると言ってもらうことができました。不意のタイミングで敬語を使えていなかったり、身だしなみについてのアドバイスをもらいました。通勤の際に、電車が満員で乗車することができず一本見送った結果、到着時間がギリギリになってしまったことがあり、時間の管理を気をつけなくてはと感じました。職場に適切な言葉遣いや、就労に必要な体力について、もっと知りたいです。」
綜合キャリアトラストの障がい者就労支援
綜合キャリアトラストは、障がい者雇用支援の専門コンサルティングを行っており、顧客企業の障がい者就労を支援しています。自社内でも障がい者が就労する専門部署CVT(Create Value Team)を設け、さまざまな障がいがある方とともに就労しています。リモートオフィスを設置して専門の支援員を配置するといった、障がい者が働きやすい環境に配慮しています。
ソーシャルオフィス>>
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ソーシャルワークス>>
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000120102.html
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